「花…響き合う愛の詩(うた)」-花讃花
2012年協会展全国共通のテーマは「響き合う花」となりました。
今まで40数年間様々な鳥を創ってきまして、まだまだ創ってみたい鳥はたくさんあるのですが、まず心に浮かびましたのが
雉子(きじ)の「アトム」と「ラベンダー」でした。私の意図する創作は「花プラス工芸」です。「アトム」と「ラベンダー」は長らく一緒に暮して、私の心に響き合う花々と共に胸深く刻まれ響き合う愛で結ばれた仲間でした。
シアトル郊外の、入江に面した5エーカーの敷地の片隅にある、深い藪の中でみつけた卵を、眞白でフワフワの羽毛の「シルキー」と呼ばれる烏骨鶏(うこっけい)の「絹」が大切に抱いて暖め産まれ出た生命…
卵の殻から飛び出すとすぐにキリキリ舞に走り廻って、おっとり、ゆっくりの「絹」は腰を抜かさんばかりにびっくり仰天…そのうち成長すると、藪から遊びに来る野生の雉子(きじ)と鶏舎の内外でヘリコプターの様にブルルン・ブルブルと翼を震わせながらキィーン・キィーンと金切り声でのデュエットに、娘のクリスティナが手塚治虫のロボットの様だと「アトム」と名付けたのです。そのあと新しい小舎に移ってから「ラベンダー」は1日おきに1個づつの卵を産み続けるばかりで暖めないので、優しい「絹」が仮親を続け、次々と産まれる子達は大きくなると藪の中に離してやるのですが、それでも休むことなく産み続ける卵は友人が持ち帰って、インキュベーターで暖め、生まれた子達は大きな大きな鳥舎一杯になっていました。
私の犬や猫達は毎日敷地内をパトロールして、鳥達を天敵から護り、又いつの頃からか3羽のカラスまでが50羽ほどの白鳩を守るガードマンになっていたのです。
「愛はすべてのすべて」愛はすべての生命に触れ合い、響き合う魂(こころ)の詩(うた)となってゆきました。
2012年 春